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暗算すれば計算ミスは減る。筆算だけでは伸びない理由とは?

| 勉強法教科別

数学

今日は高槻校の校舎長・数学を担当している川上先生に来ていただきました。よろしくお願い致します。

よろしくお願いします!

今日、川上先生の話す内容が面白いのですが、「計算」についてですね。

計算は数学の基礎中の基礎ですから、早く正確にできる、これに越したことはない訳で、それをしっかりとやっていくことが大事です。

駿台・浜学園でも計算力をしっかりと鍛えていくために、計算練習はもちろん基礎としてやっていきますけれども、計算といえばまずしっかりと丁寧に筆算を書く練習をしますよね。

筆算をやりすぎたら数学力はつかない

筆算

筆算を丁寧に書いてその後を残して正しく導く。これがきっちりできるようになれば計算はいいんじゃないかと。

逆にこの辺をいい加減にしちゃう子は、ミスをしたり途中で間違えたり、書いたところが分からないなど無茶苦茶になる。まずは丁寧に筆算を書いて正しい答えを導きなさい、ということを指導するのが基本です。

でも、川上先生は「筆算だけだったら数学では力つかないよ」と。

はい。

筆算はやりすぎたらダメみたいな。それは意外というか、僕も親として「筆算やらなくていいよ」と言われると「え?」ってなりますよね。

その辺について今日は教えてもらいたいと思います。

暗算を積極的にやる理由

暗算

実際どうなんですか?筆算をやらなくていいんですか?

筆算はもちろん最初は必要なんです。筆算のルールを覚えないと、そもそも2桁の掛け算や割り算はなかなかできないと思いますし、いきなり筆算が必要がないわけではありません。筆算のやり方を習得した後の話なんです。

まずきっちりとやるということですね。そこは一緒ですよね。

筆算のやり方を習得した後に、私は授業の中で暗算をぜひ積極的にやっていくようにと指導しているんです。

暗算… そろばんの暗算みたいな?

いえ、筆算を頭の中で思い浮かべながらやるってことです。そろばんみたいな特殊な玉の移動といった技術はなくても大丈夫。筆算をただ頭の中で再現する方法です。

ちょっと大人が簡単な暗算をするようなイメージですか?

そうです。と言うのも、暗算は脳の「ワーキングメモリ」と呼ばれているのですが、短期的な情報を覚える力を鍛えるのに非常に効果的なトレーニングなんです。

暗算はワーキングメモリを増やす

ワーキングメモリ

「 ワーキングメモリ」は日常的に使っている能力ですね。今やっている作業を覚えながら、次の作業に移っていくというような、ごくごく短期的な記憶力のことです。

僕はワーキングメモリはもう破綻してますね。電話番号とか覚えてませんもんね。じゃあ、計算するのも筆算だけに頼っていると、ワーキングメモリが鍛えられないということですか?

そうなんです。筆算を頭の中で暗算しようと思うと、例えば15×3だったらまず3×5をして、その後さらに3×1が「3」で、それを覚えてたものを足すっていう作業になりますから、頭の中にいろいろ覚えておかないとできないわけです。

この短期的な覚えておく能力が上がってくると、まず計算ミスがどんどん減っていくんです。

よく保護者の方から「うちの子は字が汚くて…0と6を自分で書いた数字も判別がつかなくて…それで足し間違ったりするんですよ。」というお話を聞きます。きれいな字は大事です。

それとは別に算数・数学の教員っていう立場から見ると、それは0と6の区別つかない字の問題ではなくて、ちょっと前に計算した数字が0なのか6なのかも自分でわからなくなってる。そっちの方がずっとずっと問題だと思います。

考えずに書いているということですもんね。

もはや意識せずに書いるということですね。記憶からサーっという感じです。

これは本人の意識が悪いとかではなくて、その記憶容量が少ないんだと思っています。なので、どちらかと言えばワーキングメモリを鍛えてミスをなくす方向に指導の重点を置いてやっているんです。

普段の塾の宿題だったりしたら、2桁の足し算とか 2桁×1桁は「少々計算ミスが最初は出てもいいから」と言うんです。少々出てもいいから、積極的に暗算でやってもらっています。

暗算ができるようになると・・・

ミス

ワーキングメモリが鍛えられてくると、自然とミスが減ってくる。筆算に慣れてくれば、単純な計算は暗算をやらしていくことを推奨してるということですね。

はい。

それがある程度自分でできるようになってくると、どういう効果がありますか?

ひとつは先程言ったように、自分の覚えておける容量が増えているので、いろんな部分でミスが減ってきます。足し引き掛け割りもそうですし、小学生なんかですと小数点の打ち忘れ、引き算だったのに足しちゃった。そういうケアレスミスが減ってきます。

ということは、全教科的に役立ちそうですね。

そうですね。ワーキングメモリが一番影響がある教科は「国語の読解」だと本で読んだことがあります。数学でも受験期で非常に大きく関わってきますね。

数学の問題の難しさは2種類

思考プロセス

数学の問題の難しさは大きく2種類あると思っているんです。

1つ目は、こんな解き方を思いつかないよっていう難しさ。これはもう、思い付かなければ分からないわけですから、いっぱい勉強しながら、かつ当日試験のちょっとした閃きみたいなものが必要だと思います。

これを身につけるのは至難の業ですね。

もう1つはプロセスが長くなってきて、途中で訳が分からなくなるというやつです。

数学の入試問題を解説してて、毎年おもしろい現象が起こります。

まず「Aっていう情報からBが分かるよね」。 生徒たちは「うん」って言います。「Bってことは次にCがあるよね」「うん」「CからDが出せるよね」「うん」って、一個一個のところには「うん」っていうんですけど、大体3段階くらい話が進んだところで、「あれ?わけが分からなくなった」 という子が出てくるんですよ。

これは何が起こっているのかというと、もう1回 1個1個プロセスを確認したら、全部「うん」「うん」「うん」と言うんです。

でも、訳が分からなくなったというのは、最初のところからの繋がりが覚えきれなくなって「今何してるの?」「この先何したかったっけ?」 という状態になります。

数学は難易度が上がると、思考のステップ数がどんどん増えていくんですね。ですので、ワーキングメモリをきちっと鍛えていかないと、一つ一つの知識はあるのに、途中で訳が分からない、解けない ということになってしまったりするんです。

ですので、思考力・応用力の部分にも、実は大きく関わってくるんです。

暗算を促すための指導方法

計算ってすごい単純で、筋トレみたいな感じで思考せずにやる分野のようなイメージでしたけれども、そうじゃないということですよね。だから計算1つとっても、思考力まで鍛えられるぐらいの 「ワーキングメモリ」があれば、学習全般に役立つんですね。

ちょっとした工夫で、それが単純作業になるのか、意味のあるトレーニングになるのか 変わってくると思います。

先生も教室で暗算をどんどんやらせるように広げていっているんですか?

強制するというよりは、授業中に2桁×1桁とかでもいきなり生徒に 「なんぼになる?」ってあてます。もちろん最初は私の授業に慣れてない生徒ですと、「エェッ…」って困った顔をします。

なので「筆算していいよ」と言うんですが、暗算でパッと答えるのが普通というテンポ感で授業をしていると、それに慣れてくるので、どんどん暗算でパッパッて答えが返ってくるようになります。

そうなると成績の底上げというか、学力がグッと上がる感じになってくるということですか?

自然と計算ミスは減っていきますね。

普通は逆のような感じがしますけどね 。「暗算するな」とか言っちゃいそうですよね。暗算するから間違えるんだ、暗算やめとけってね。でもむしろ、簡単な計算だったら頭で考えられないといけない ということなんですね。

小学生はまだ内申点が関係ないので、ちょっとしたミスの1点2点を気にするよりも、長期的な目線で能力を伸ばすには・・・と考えていくと、暗算って非常に効果的だと思っています。

よくわかりました。普段の学校の勉強や宿題でも、少し暗算を意識しながらやってみるのもいいかもしれませんね。単純に計算面白くないと思いながらやるんじゃなくて、ちょっと暗算をチャレンジしてみてください。

今日はありがとうございました!

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